もらい火の火事は損害賠償請求できない!?

隣の家からの貰い火によって我が家を燃やされても火元の人に損害賠償請求ができないという話を聞いたことはありませんか……?

このお話実は本当で、時代を遡ること明治時代に「失火ノ責任ニ関スル法律」(失火責任法)という法律によって規定されている内容なのです。では失火責任法とはどのような法律なのか説明します。

失火責任法とは?

端的に内容を述べると「重大な過失がある場合は除き、火災で他人に損害を与えてしまっても損害賠償責任は負わない」というのが失火責任法の内容です。

重大な過失の例

では失火責任法でも責任を免れない重大な過失とはどんなものでしょうか?
基本的に重過失として認められるのは、わずかな注意さえ払っていれば予見、防止できたのにそれを漫然と見過ごしたような場合です。
例えば、以下のような事例では重過失が認められています。

  • てんぷら油の入った鍋を火にかけたまま長時間台所を離れた
  • 寝たばこ
  • 石油ストーブの火をつけたまま給油を行った

なお、上で挙げたような事例ですべてが重過失と認められるというわけではありません。個別の状況に合わせて判断されます。
ちなみに賃貸物件に住んでいる場合には重大な過失うんぬんとは関係なく大家さんへの損害賠償を負うことになりますのでご注意を。

もらい火の被害者・加害者になった場合はどうする?

では、以上を踏まえた上で被害者と加害者の目線でのスタンスを書いておきます。

被害者(燃やされてしまった場合)

☆我が家は自分の火災保険で守る!

失火責任法により隣家などからのもらい火で自宅が燃えても、火元の人に損害賠償請求をすることができません
賠償責任がなくても損害賠償に応じてくれる可能性もありますが、相手も火災で財産を失っていますので賠償額が十分な金額になるとは限りません。
自分の家に受けた損害については自分でかけている火災保険を利用するのが基本だということを覚えておきましょう。

加害者(燃やしてしまった場合)

☆失火責任法で損害賠償は被らなかったが、お隣の人に悪い…というときは類焼損害特約などで対応

失火責任法によって延焼しても重過失がなければ損害賠償責任は負いません。しかし、「全くお金を払わないのは隣家の人に悪い」「今後のご近所づきあいを考えると少しでもお金を払いたい」と考える人もいるのではないでしょうか?
そういった時のために火災保険に類焼損害補償特約という特約を付けることができます。
類焼損害補償特約とは、類焼先の家が火災保険に未加入であったり加入していても補償額が十分でなかったりした場合に、相手の火災保険の不足分を補うためのものです。(※類焼=もらい火のこと)
現在未加入の方は一度ご検討されても良いかも知れませんね。

ちなみに加害者で重大な過失にて燃やしてしまった場合に関しては手立てできる保険は無いかと思いますので、天ぷら油などの使用する際には注意が必要です!

これから寒くなるにつれて火事のリスクもあがってきますので是非ご参考にしてください❗️